2020-10-31 :

良かった作品 2020年10月


紹介 / 感想を書きます。

ご飯は私を裏切らない

29歳、中卒、恋人いない歴イコール年齢。バイト以外の職歴もなく、短期バイトを転々とする日々。私は、現実から目を背け、思考を止めるためにご飯を食べる。私は人の期待をすぐ裏切るけれど、ご飯はこんな私の期待を裏切らずにいつも美味しい。

どんな境遇でもご飯は美味しい。タイトル通りのことを淡々と描いており、良いです。全体的に陰鬱とした雰囲気で主人公ちゃんも基本的に目が死んでいるんですが、諦観と共に全てを受け入れ、前向きに日々を過ごそうとしているのが印象的です。超ポジティブ思考なところがあったりする。

この漫画はグルメ漫画というよりかは生活漫画というほうが近しいと思っていて、ページの大半を主人公のモノローグが占めていたりするんですが、それが妙にインターネット的で手に馴染む。どことなく金魚王国の崩壊を想起させるものがあった。個人的にかなり響いた作品で、本棚に置いておきたくて紙の本も買っちゃいました。

邦キチ!映子さん

天然系女子高生が放つ、邦画プレゼンという名の暴力――!!

邦画プレゼン漫画というジャンルらしい。主人公の部長は割とミーハーな映画好きなんですが、そんな部長にヒロインの邦キチ(すごい愛称だ)が面白可笑しく邦画の魅力を語り倒すお話です。作品紹介漫画が好きだな~、と改めて思った。人の作品語りを聞くのが好きです。

1話の密度がものすごく、一気に読むと胃もたれしそうになるので少しずつ読んでました。あまり映画は見るほうではないのであるあるネタとかはあんまり分かんなかったんですが、それでも面白かったし、色んな映画を見たくなりました。良い漫画。

メダリスト

夢破れた青年・司と、見放された少女・いのり。でも2人には、誰より強いリンクへの執念があった。氷の上で出会った2人がタッグを組んで、フィギュアスケートで世界を目指す!

面白かった! かなり王道なスポーツ漫画だと思います。そして漫画がめちゃくちゃ上手い。作画、ストーリー、キャラクター、どれをとっても最高で、何というか全てが良いので具体的にどこが良いみたいなのを書くのが難しいところがあるな。

1つ挙げるとするなら、ダブル主人公を描いているところだろうか。いのりは明確に物語の主人公だし、コーチとなる司もまた切実な物語を抱えた主人公で。この2人で一緒に前に進んでいく感じがやっぱり良いです。

さくらの雲*スカアレットの恋

2020年に生きる青年・風見司は、桜の木の下から100年前へタイムスリップを遂げてしまった。――帝都・東京。そこは新時代への希望に満ち、文化の華が咲き乱れた、輝かしき浪漫の都。 今ここに、桜舞うレトロ・ミステリイの幕が開ける!

今月のノベルゲーム枠(エロゲですが)。100年前にタイムスリップした主人公がひょんな縁から私立探偵の助手となるところから物語は始まります。

各章の問題→解決フローで用いられるトリックがちょっと地味だったり、サブヒロイン√がやや退屈なところはあるものの、終盤の伏線回収が凄かったことを含め、ストーリー全体で見るとかなり面白かったです。批評サイトで高スコアを叩き出しているのも頷ける。ブラフも含めてとにかく大量に伏線をばら撒いて、物語のピークに差し掛かったところで怒涛の勢いで回収していく流れは見事でした。10章で跳ねてからはもうずっと面白かった。

色んなジャンルがごっちゃになってるような作品ですが、要素としてはやはりミステリーが強かったと思います。10章で扱われたクローズドサークルがかなり面白かった。物語の閉じ方もタイムスリップものとして文句の付けどころがなく、綺麗に風呂敷が畳まれていたので良かった。