良かった作品 2020年7月
紹介 / 感想を書きます。
バトゥーキ
『嘘喰い』迫稔雄による異種格闘漫画。最初はちょっと絵柄に戸惑ってしまったのですが、これが不思議とどんどんハマってくる。ノってる時の作画の美しさは圧巻です。ストーリーについても同様で、話が進むにつれぐんぐん面白くなります。1-2巻がプロローグ、3巻から本編開始という感じ。
喧嘩、異種格闘技戦って言ってしまえば今までやってきた、信じてきた全てをぶつけ合うということなので、そこで発生するドラマの熱量が物凄いのですよね。溜めて溜めて、ここぞで盛り上げるという演出もバッチバチにハマっており最高に格好良い。
あとこの漫画はギャグが良くて、真剣にふざけてる感じというか、本人たちは至って真面目にやってるけど傍目から見ると面白いことになってる感じが好きです。ヒナまつりとかが近いかもしれない。
総合タワーリシチ
超ハイテンション百合コメディ、予想の数倍良かったです。キャラクターの立て方が上手く、お手本のようなギャップ萌えを描かれるので感嘆してしまう。黒髪ロング正統派っぽい見た目で元気溌剌な能天気キャラをやられると問答無用で好きになってしまいます。おとなしめ清楚お嬢様っぽい子がたまに口悪くなるのも最高ですね。オタクはギャップ萌えが大好き。というかまあ全員めちゃくちゃ好きなんですけども……3組とも本当に良い......。
コメディ要素が軸にあって、それに加えて百合要素があるという感じも本当に良くて、謎の嬉しさがあるんですよね。これも一種のギャップなんでしょうか。キャラに愛着が湧きやすいというのもあるかも。
特に好きだったのは幼馴染組で、幼馴染って良いですね……となりました。家が隣。距離が近い。当たり前のように一緒に寝とる。世話焼きと世話焼かれの関係性が大好き(この二人は得意不得意が両極端なので互いに世話を焼きあっているのもさらにGOOD……)。キャラ説明でこの二人の間に書いてあった文章、一緒にいるとうれしいたのしい。一緒に居ると嬉しい楽しい二人。本当にすごい。こんなに良いことってあるんですね。
アキタランド・ゴシック
少し不思議な架空世界アキタランドを舞台とした、ゴシックな装いの女の子らによる日常系4コマ。世界観は結構やりたい放題なのですが、可愛さと面白さの温度感がなんとも絶妙。作中の話題もインターネットのオタクが好きなタイプのものが多く、楽しかった。しかしタイトルが本当に良いですね。
女の園の星
これは本当に面白かったです。いわゆる女子高コメディで、主人公は表紙にも載っている国語教師、星。絵柄も女性向けといった趣きがあるのですが、普遍的な面白さがあった。絵のタッチ、言葉選びなど、全体的に上品さがあるのも良かった。どことなく九井諒子っぽさがあるような。
異セカイ系
異世界系小説の作者である主人公は、ある日自分の書いた小説世界に入れることに気づく。虚構の世界がリアルの世界になることで、ヒロインを一人の人間として認識してしまう……。メタ構造が入り乱れる、物語の物語の物語。
作中では色々なテーマが語られるのですが、作者は自分が生み出したキャラクター(ヒロイン)を愛することができるのかという話が面白かった。ヒロインが主人公を好きなのは、自分がそういう風に書いたから、という虚しさ、構造のどうしようもなさ。それを強引に、それでいて納得させられてしまうような道筋で解決していくラストシーンがなんとも爽快です。