和風ファンタジーという世界観 -『鬼神純情伝!』
なろう備忘録第42弾。
あらすじ: 平凡な生活を送っていた少年は、世を揺るがす大騒動に巻き込まれる。 はてさてこの少年は、調伏されし鬼を従え、救国の英雄と相成るか。 悪鬼羅刹より転生し、式神となったこの鬼は、護国の鬼神と相成るか。 強力無比な恋敵を前にして、桜花咲く純情可憐な恋心の行方は何処。
「人の温かさを、情を知った獣は、野生では生きられぬ……」 「だが――情を知らぬ獣は、涙を零すまい」 -----第30話『最期ノ災厄・急 - 弐』より
約20万文字完結。 ひょんなことから世にも恐ろしき千年悪鬼が純和風美少女に転生してしまう。そんな彼女が冷静沈着で豪胆(に見えるように演技している)主人公と『3つの災厄』に立ち向かうお話。
そしてヒロインになってしまった千年悪鬼ちゃんがギャップ萌えの権化みたいなキャラでしてそれがまあ可愛いこと可愛いこと。中盤からは千年妖狐も加わってダブルヒロイン体制になるのですが、もう彼女らの愛くるしさにノックアウトされること間違いなしでしょう。
そしてこの作品の最大の魅力が徹底して描かれる『和』の世界観。 まるで歴史モノのような硬派な雰囲気ながら、流れるように洗練された文体。時代錯誤なメインキャラ達の口調も上手く作品と調和している。
平成の現代を舞台に、そしてファンタジーという相容れなさそうな要素を含みながらも、この作品の雰囲気は徹頭徹尾『和』なのである。それでいて可愛らしいヒロインを据えることでライトノベル的な要素も兼ね備えて、固くなりすぎないところも良かったです。
和風ファンタジー、これから暫くはハマってしまいそうだ。