インスタントな面白さ -『天啓的異世界冒険譚』
備忘録第12弾。
今回紹介するのは『天啓的異世界冒険譚』という作品。第3弾の記事で書いた『この世界が~』と同じ作者さんの書いた作品です。 どこかのサイトで「『この世界が~』のプロトタイプ的な作品」と薦められていたので興味を持って読んでみた。読んでみたら「なるほどその通りだ」と納得してしまった。この独特のセンスはこの人にしか出せないだろう。
この作者さんの描く『持ち上げて持ち上げて期待させてからの、肩の力が抜けるような結末』という様式美が好きすぎる。少し作品紹介欄のコメントより引用。
異世界転生物のテンプレ的なイベントを色々と台無しな形で解決していくお話
『天啓』の魅力がこの一文に如実にあらわされている。なろう作品を読みなれてくると、こういうテンプレをメタった作品が本当に面白く感じる。一週間ずっと龍を殴り続ける主人公とか笑ってしまう。
『この世界が~』に比べるとやはり熱度やカタルシスには劣るが、この作品にもたくさん良いところがある。まず第一に『ストレスフリー』な物語であるところ。ストーリーがどんどん進んでも主人公がピンチに陥ることは殆ど無い。トラブルに巻き込まれたり女の子と仲良くなったりとストレスを感じずに常時楽しんで読める。記事タイトルの通りインスタントな面白さがある。
こういう何も考えずに読める感じが「なろう作品」っぽくてなんだか好き。ただただ自由にふるまう主人公も良い。女の子との絡みも節操がない。最終的に15人くらいのハーレムを作ってしまうほどだ。しかしここまで突き抜けられると逆に爽快感が生まれてしまう。こういう自由奔放ではちゃめちゃな作品は良いものだ。
それでいて一番最初に出会ったメインヒロインの女の子は何かと特別枠という感じで優待されていて、最後も彼女で〆られていたのは良かったと思う。こういうお約束はきっちり守ってくれるところが心憎い。
ライトな面白さがあるこの作品。空き時間などに是非。