レムに盲目的になる人々 -『Re:ゼロから始める異世界生活』
備忘録第8弾。
今回は『Re:ゼロから始める異世界生活』の感想を書いていく。 4章まで読んだ時点で書いているのでご留意を。続きを読もう読もうと思ってるのだが中々腰が上がらない…。面白い作品なんだけど読んでて疲れるのよなあ。その辺にも触れつつ、主人公像、ヒロイン談義など色々と雑記していきます。
まず一言、長かった。 作品の題材的に展開が遅いのは許容できるが、全体的に文章が冗長に感じてならない。いやそれ描写する必要ある?って場面が多々あり正直かなり目が滑った。その気になれば半分くらい削れるんじゃないかと思いながら読んでいた。
実際ブラッシュアップされた書籍版では文章量は半分以下に減っている。それでもやはりweb版と同じくらい面白かった。手っ取り早くリゼロを楽しみたい人は書籍版を買うべきだと思う。web版なんて500万文字近くあるし...。
ただまあリゼロの魅力の一つである膨大な『物語の設定』に浸りたい人にはweb版を読むことを奨めたい。世界観、登場人物の設定など、専用wikiが作られるほどの量だ。こういうのを読んでワクワクする人は結構いるのではなかろうか。作者さんのaskとかも面白い。
特にそれぞれの大罪を背負った魔女や使徒たちの造形とか設定なんて滅茶苦茶に魅力的。敵サイドで一番好きなのはエキドナ。はやくアニメで彼女を見たい。
主人公スバルについて。 事前に読んだレビューで「くそ」「ろくでなし」「うざい」等と散々書かれていて結構身構えていたのだが、なるほど確かにこれはキツい。個人的には「うざい」というより、周りの空気を読まずペラを回すスバルに対して「弱さ」「痛々しさ」を感じた。見ていてつらい、また周りの人々が有能であることがこれらを浮き彫りにする。
しかしそれらの悪感情すべてが第3章の『ゼロから』のカタルシスに繋がる。この構成には思わず唸った。ここまでのストーリーラインによる誘導がすべて作者さんの掌の上だったとしたらと思うと、正直に脱帽せざるを得なかった。
まあweb版3章を越えた人でスバルが嫌いな人などほとんどいないでしょうが、私も例に漏れずこの『強いところもあれば、弱いところもある等身大な主人公』を好きになってしまうわけで。王道ど真ん中の成長ストーリーにうってつけの主人公なのだ。
ヒロイン談義をば。 まず私は当初エミリアが好きだった。3章前半で喧嘩別れするところなんて最高だ。(主人公とヒロインが喧嘩する作品は名作が多い気がする)
しかし不幸なことに、3章のレムのヒロインっぷりが強すぎた。殆どの読者がこの献身的な少女に心を鷲掴みにされ傾倒したに違いない。かくいう私もその一人だ。この子の恐ろしいほどの魅力は私たちを盲目的にしてしまう。
つまりスバルがエミリアを第一と捉えていることにモヤってしまうのだ。そしてその言い表しようがないモヤモヤをエミリアにぶつけざるを得なくなる。「レムはこんなに良い子なのに、なんでお前が」なんて狂信的な感情が沸き上がってきてしまう。アニメ放送中はこういう諍いが多々見受けられた。
ただまあ私は、ある程度期間を置いたら特に気になることはなくなった。4章のエミリアは最高に良かったし、ベアトリスも可愛かった。それらを素直に楽しめた。
アニメについて少しだけ。 個人的には7話がピークだった。それ以降はまあ普通だ。18話も期待ほどではなかった。あと最終回で「レム誰」しなかったのにはガッカリさせられた。それカットしちゃうのか。
ごちゃごちゃと書いたが、主人公の成長物語として金字塔足りうる作品であると思う。一長一短な作品ではあるが、また気が向いたら読み進めよう。